ピンポ〜ン♪


…ガチャ

「あ、和之来たわね〜。時間通りで結構、結構♪」

「なんだよ、人をいきなり呼びつけといて。」

こいつは雅 麗亜(みやび れいあ)。
子供の頃からの腐れ縁というか、昔から気軽につるんでいるダチだが
俺の性的趣向がバレてからというもの、どうも立場が弱くなってる気がする。
今日も突然、6時ちょうどにウチに来い、ときたもんだ。
それに今日のこの格好…
黒のパンストに超ミニ。また、俺をからかうつもりなんだろうか。

「で、何の用だよ?」

「バッカね〜。2月14日っていったら決まってるじゃない」

「2月14日…はて?」

「もう〜、バレンタインデーでしょ、バ・レ・ン・タ・イ・ン!」

「バレンタイン?もしかしてお前、俺の事…」

「なっ…何言ってんのよ!勘違いしないでっ。
 どうせアンタなんて誰にもチョコもらえないだろうから
 幼なじみのよしみであげるだけなんだからねっ!」

プイッと顔をそむけた頬が少し赤くなっているような…
そういや、こいつからチョコなんてもらうの初めてだよな。
今までそんな事、気にもしなかったけど…

「寒いんだから早く入りなさいよ。今が丁度いい温度なんだから。」

「えっ、ああ。…ん?温度?」

「いいから早く、こっちに用意してるから。」

俺は急かされながら、キッチンへ向かった。